ハザードマップの読み方が学べるサイネージ設置型のクイズゲームアプリです。
マス目で区切られた地形図から、自然災害リスクがより高い地域を当てて高スコアを目指します。
このアプリでは、ゲーム画面をサイネージ端末で表示する一方、対象地域の指定などの管理はQGISプラグイン上で行うことが可能です。
技術開発部企画室 村松和善 様
QGISのことなら何でも対応できる信頼感

東京カートグラフィックの村松和善様
地図調製やGISの設計/開発、測量・調査など地理空間情報に関する様々な事業を手がける東京カートグラフィック株式会社。同社が2022年に開始したプロジェクト「ディレクティングマップ」は、地図をエンターテインメントとして演出する新たな取り組みで、その一環として防災をテーマにしたアナログ地図ゲーム「ハザードマップゲーム」を開発し、地理空間情報に関する取り組みを表彰する「Geoアクティビティコンテスト」にて2022年度のクリエイティブ賞を受賞しました。
「ハザードマップゲーム」は、地理院地図をもとにメッシュのサイズが6cm四方のパネルを切り出し、各パネルをマグネットで取り外せるようにしたゲームです。災害リスクに応じて各メッシュに点数を付けており、プレイヤーは危険度が高いと思われる場所を予想して順番にめくり、合計得点で競います。

ハザードマップゲーム
この「ハザードマップゲーム」をデジタル化して、デジタルサイネージ上で遊べるようにしたのが「守れ!サイガイ防衛隊」です。「守れ!サイガイ防衛隊」は、地図の中から災害リスクの多そうなパネルを選んだり、防災クイズに挑戦したりすることで点数を獲得できるウェブブラウザベースのゲームアプリです。イベント会場やショッピングセンターなどの会場に設置し、訪れた人に遊んでもらうことで防災意識を高めてもらうことを目的としています。
MIERUNEは東京カートグラフィック様からの委託により、この「守れ!サイガイ防衛隊」のアプリと、「ハザードマップゲーム」および「守れ!サイガイ防衛隊」の下準備として地図上でマス目ごとに災害リスクを算出し、地図画像を切り出せるQGIS用のプラグインツールの開発を行いました。この開発の経緯やユーザーからの反響、今後の展望などについて、「ディレクティングマップ」の地図地理エンタメプロデューサーを務める技術開発部企画室の村松和善様に話を聞きました。

守れ!サイガイ防衛隊
村松様 「ディレクティングマップ」は、小中高生を対象に地図や地理に関する知識を楽しく教えることを目的とした取り組みです。きっかけは2018年に弊社が国土地理院からの受託により「地図と測量の科学館(つくば市)」で実施した地図学習のワークショップで、子どもを相手に地図や国旗の話をしたところ大変な好評を得ました。保護者から「この授業を受けて子どもの社会の成績が上がった」と言われたこともあり、ワークショップを通じて多くの子どもが地理や地図に興味を持ってくれたと思います。このように子どもの頃に地理や地図を「面白い」と感じてもらうことで一生の思い出となり、地理教育の裾野を拡大できるのではないかと考えて、「ハザードマップゲーム」を作成したタイミングで会社に企画を出し、プロジェクトがスタートしました。
村松様 弊社は地図調製会社として、自治体からハザードマップ製作を受託していますが、ある損害保険会社が行ったアンケートで「自治体から配布されたハザードマップを見たことがある人は3割に満たず、見たことがある人の5割は意味を理解できていない」ということを知って衝撃を受けました。弊社としては「ハザードマップを作って納品すれば終わり」という今の状況をなんとか変えられないかと思い、ゲーム化することで多くの人がハザードマップを見るきっかけにしてもらおうと考えたのがハザードマップゲームです。「ハザードマップゲーム」の「地図をめくると災害リスクの点数が表示され、これを合計した点数で競う」というアイディアは、今年になって特許も取得することができました。
「ディレクティングマップ」の活動では、小学校や中学校において「ハザードマップゲーム」を使った出張授業を行っています。「ハザードマップゲーム」の地図を見て危険そうな地域を生徒がそれぞれ考えて答えを出し、めくったパネルを見せながら先生や友達と一緒に「なぜそこが危険なのか」を考えることで理解が深まるし、家に帰って家族で自治体のハザードマップを見ながら家の周囲のリスクについて話し合ってもらうことでハザードマップの重要性を広く伝えることができます。

村松様 ハザードマップゲームは出張授業の依頼元の地域にあわせて、下準備として地図のパネルを作成する必要があり、メッシュごとの点数付けなどに手間がかかっていたので、これを簡単に行えるようにQGIS用プラグインを開発しようと考えました。このプラグイン開発を行う際に、せっかくの機会なので「ハザードマップゲーム」のデジタル化も実現しようという話となり、両方を一緒にお願いしようとMIERUNEさんに相談したところ、「できますよ!」と快諾いただいたのです。
MIERUNEさんを選んだ理由は、QGISのことなら何でも対応できるという信頼感もありましたが、「ハザードマップゲーム」のデジタル化も込みで対応していただける点が大きかったです。一般的にゲーム専門の開発会社だとGIS関連のデータを扱うのは苦手なことが多く、位置情報技術を活用したゲームを開発できる会社は限られているので、MIERUNEさんがゲーム開発も可能ということには驚きました。また、作成したあとのメンテナンスを社内で容易に行えるようにするためにウェブアプリとして作成してほしかったので、すべての要望に対応していただけるのは、私が知る限りではMIERUNEさんしかいないという状況でした。
村松様 私としてはゲームを開発するというのは初めての経験だったので、最初はどれくらいのマンパワーが必要なのかがまったくわかりませんでした。開発には、私とMIERUNEさんのエンジニア、ゲームプランナーさん、キャラクターのイラストを手がけた本田しずまるさんなど、さまざまなスタッフが参加しました。ゲームが完成するまでには細かい設定やセリフなど色々なものが必要だということにも開発がスタートしてから初めて気付きましたし、マーケティングの対応もできていなかったので、急いでランディングページを作るなど色々な苦労がありました。
MIERUNEさんやゲームプランナーさんと一緒に打ち合わせを行う中で、私の頭の中にあるゲームのイメージを伝えて形にしていったのですが、MIERUNEさんからアイディアをいただいたこともあり、非常に助かりました。私は子どもの頃にファミコンやスーパーファミコンで遊んだ世代なので、「あのゲームのあそこの部分のように作ってほしい」といった注文の仕方をしたところ、みなさん昔のゲームを知らずポカンとしてしまうこともありました。また、“無茶振り”のお願いとして、「中毒性が欲しい」というリクエストをしたこともあります。何回もやりたくなる仕掛けにしたいということで、クライマックスのときに「パチンコの当たりが出る瞬間に近いものを作ってほしい」と要望したところ、みなさん頭を抱えていました(笑)。
村松様 タイルの地図を作って実装するといった技術面については、あまり深く説明しなくても的確な作業をしていただけるので、とても助かりましたね。このゲームでは、タップするとその部分だけが拡大して解像度の高い地図が表示されるのですが、こちら側から指示しなくてもきちんと作っていただけました。私としては、“無茶振り”で頼んだ演出面以外については、あまり苦労した点は無かったように思います。MIERUNEさん側では、サイネージで動くアプリということで地図の解像度が少なく不鮮明になってしまうことに苦労していたそうですが、私としてはその点はとくに指示していなくて、完成したものを見て「キレイだな」と感動しただけです(笑)。
村松様 「守れ!サイガイ防衛隊」のサイネージは、防災センターや商業施設に期間限定で設置していただくことが多いのですが、ある防災センターに展示したときにお客様にアンケート調査を行った結果、9割前後が好意的な評価となりました。他の場所でも好意的な評価が多数を占めることが多いです。今後はもっと認知度を上げて、もっと色々な場所で「これを設置したい」と思っていただけるようなサービス展開を考えていきたいと思います。
また、現在はサイネージごとのレンタルで最低1カ月から借りられる仕組みとなっており、タッチパネル対応のサイネージでしか使えませんが、これをゲームコントローラーでも遊べるようにして、アプリとコントローラーだけをお貸しして短期間のレンタルも可能にしたいと考えています。
村松様 防災分野は収益化の仕組みを作るのがとても難しいので、地域貢献という形で地元の企業から協賛を募るためのツールとして「守れ!サイガイ防衛隊」を活用できないか検討しています。防災イベントなどもNPOなどボランティアで参加している組織が多いので、「守れ!サイガイ防衛隊」はそのような状況を変えていくきっかけになれば良いと思いますし、教育現場へのアプローチも検討しています。
また、「ハザードマップゲーム」や「守れ!サイガイ防衛隊」以外でも、「ディレクティングマップ」としての活動を拡大していくことも考えており、測量体験など新たなプログラムを提供することで地図の面白さを伝えたり、アナログの防災ボードゲーム「迫れ!サイガイ防衛隊」を提供したりと、新たな取り組みも始めています。地図や測量、地理などカテゴリにこだわらず、今後もコンテンツのラインナップを増やしていきたいと思います。

村松様 MIERUNEさんには、ぜひこれからも“発信力”の強さを発揮してもらいたいと思っています。デザインにこだわり、地理空間情報をオシャレでカッコいいものとして発信しているのはとても良いと思いますし、その裏付けとしてしっかりとした技術力も持っている点も魅力なので、今後もこの姿勢を続けてほしいですね。この業界は“見せ方”を考えるのが苦手な会社が多くて、その中で東京カートグラフィックは比較的、見せ方が上手い会社だと思っているのですが、MIERUNEさんも違う意味で見せ方の上手な会社だと思いますので、今後もどんどん発信していってほしいと思います!

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